船場言葉と上方噺
・関西の言葉の分類
・関西弁と大阪弁
大阪弁イコール関西弁と思っている人も多いようですが、大阪、京都、兵庫、奈良、滋賀、和歌山の各府県でそれぞれ少しずつイントネーションや言い回しも異なっています。
岡山や広島のような中国地方は明らかに関西とアクセントやいんとーネーションにかなりアクセントが違います。
一方四国の香川、徳島、高知、愛媛県西部は関西に近いイントーネーションなのはおもしろいですね。
関西弁に戻ります。例えば標準語の「突き当り」は京都では「どんつき」と言います。
兵庫県はもちろん大阪府でも京都と接している地域を除くと通じないことがあります。
大阪弁については後でもう少し詳しく説明しますが、それ以外の府県でも同府県内でも少しずつ差があります。
なかでも兵庫県は日本の都道府県の中でも数少ない太平洋と日本海に面した大きな県ですので住んでいる人の気質もちろん言葉も大分異なっています。
目次
・大阪弁の種類
大阪府は淀川の中州を除き島がなかったのですが、関西国際空港島や大阪万博会場となる夢洲等の人工島ができ香川県を抜き面積で47位から46位になりました。
本当に小さい府県ですが、7世紀後半に定められた「国」では「摂津(西の方は現在の兵庫県東部)」「河内」「和泉(泉州)」の三国に分かれていました。
吉本新喜劇の一部や漫才で使われる言葉がどちらかというと泉州や河内の言葉が使われるため、大阪弁はガラが悪いという印象を与えています。
大阪の代表と言われている河内弁ですが、大阪で今はただひとつ海に面していない東中部の農村部で生まれた方言です。
河内ではあいてのことを「われ」とか、もう少しガラ悪く「おんどれ」のように標準語では一人称に当たる言葉で呼びます。
「やんけ?」という言葉の語尾の「け」が余計にガラが悪そうな印象を与えます。
泉州は海に面した地域で漁師言葉の影響を受けているのか、やはり怖いとか乱暴なイメージを与えています。
江戸言葉でも、「ひ」の音が「し」にかわり「火を持ってこい」と言われたのに「塩」を持っていくということがよく落語のマクラにつかわれます。
泉州は和歌山県北部の影響を受けているせいか、ザ行の言葉がダ行になってしまいます。
「座布団(ざぶとん)」が「ダブトン」になり、「絶対(ぜったい)」が「デッタイ」になってしまいます。
もちろん泉州の名誉のために言えば、最近の若い人ではほとんど問題ないようです。
さて本題に近づいて摂津の言葉です。
兵庫県阪神地区を含め摂津地域ではイントネーションの違いはともかく多の二地域よりも柔らかい言葉で、標準語地域の人が聞いても抵抗が少ないといわれています。
このせいかどうかわかりませんが、関東から転勤してきた人は摂津地域に住むことを希望することが多いようです。
また、いわゆる北摂地域と言われる池田や豊中、箕面(みのお)、茨木各市の住民は泉州や河内をディスルことがあるようです。
さて摂津言葉の中でも最も上品と言われるのが「船場言葉」です。
上方噺によく「船場・島之内」とならべて言われることがありますが「船場」と「島之内」はごく近所ですが実はかなり差があります。
船場も島之内も今は大阪市中央区ですが、中央区に合併するまでは船場は元の東区で、島之内は元の南区です。
今でも元の東区は、地下鉄(大阪メトロ)で言うと淀屋橋、本町の駅が有名で大阪ビジネスの中心街ですが、船場は大店(おおだな)が軒を並べる商人の町でした。
一方元の南区にある島之内はは今でも道頓堀で有名なように芝居小屋やお茶屋のある歓楽街でした。
・船場言葉と落語
船場は江戸時代から近代初期にかけて「天下の台所」として大阪の中心地として繁栄したこともあって、船場言葉は商業社会の共通語として広く使用されました。
商売という職業柄上品で丁寧な言い回しが求められ、公家言葉(京言葉)の表現を取り入れた独特のまろやかさのある表現や語感が発達しました。
商家を舞台にした噺では、「百年目」、「鴻池の犬」、「菊江の仏壇」、「お文さん」などがあります。
「百年目」では大店(おおだな)の大番頭さんが丁稚(小僧)の言葉遣いを叱責します。
「鴻池の犬」でも鴻池家に飼われている大ボスの犬が子分の犬の言葉遣いを注意しているところがあります。
このように船場言葉をいかに大事にしていたのかは落語の中にも出てくるくらいです。
きれいな言葉と言えば、船場商家の長女は「いとさん」と呼ばれます。
これは「愛(いと)しい人」からできたようで、末娘は「こいとさん」が縮まって「こいさん」となります。
ちなみに中の娘は「なかんちゃん」と言います。
いとさんの使用例としては、「明日の御用日」の中で、旦那さんが丁稚に長女のお供を命じるときに、「いとの供をしなはれ」と言っています。
このほか丁寧な言葉では、いってらっしゃいを「おはようおかえり」と言い、いってきますを「いてさんじます」という品の良い言い回しが使われています。
・まとめ
大阪で盛んとなった漫才や新喜劇のセリフのせいで大阪弁がガラの悪い言葉であると印象を持たれています。
実際にはこのような品の良い言葉である「船場言葉」があることもぜひ覚えておいていただきたいものです。
