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落語

落語と花札

花札と落語

 

落語の中にも花札はよく出てきます。

 

演目の中でも花札の役である「五光」という演目もあります。

花札の話

 

花札イコール博打(ばくち)イコールヤクザという認識をされる方もありますが、基本的にはトランプの親戚だと思ってもそんなに大きな間違いではありません。

 

花札は月別で札の背景の模様が違います。

 

月ごとに4枚ずつあり12か月ですから全部で48枚になります。

 

1月(松)鶴(20点)+短冊(5点)+カス札2枚

 

2月(梅)うぐいす(10点)+短冊(5点)+カス札2枚

 

3月(桜)幕(20点)+短冊(5点)+カス札2枚

 

4月(藤)ほととぎす(10点)短冊(5点)+カス札2枚

 

5月(菖蒲)八つ橋(10点)+短冊(5点)+カス札2枚

 

6月(牡丹)蝶(10点)+短冊(5点)+カス札2枚

 

7月(萩)イノシシ(10点)+短冊(5点)+カス札2枚

 

8月(ススキ・坊主)月(20点)+雁(ガン)(10点)+カス札2枚

 

9月(菊)盃(10点)短冊(5点)+カス札2枚

 

10月(紅葉)鹿(10点)+短冊(5点)+カス札2枚

 

11月(雨)柳に小野道風と蛙(20点)+柳にツバメ(10点)+短冊(5点)+鬼1枚

 

12月(桐)鳳凰(伝説の鳥)(20点)+カス札3枚

 

松とか梅といったその月の花や葉のだけが背景になっている札をカス札と言います。

 

1月から10月まではカス札が2枚ずつなんですが11月と12月は1枚か3枚で他の月とは変わっています。

 

しかも11月のカス札は柳の葉ではなく、良くわからない模様が描かれています。

 

この札のことを鬼とか鬼札と言い他の札とは異なった使い方をします。

 

いわばトランプのジョーカーのような札です。

 

松に鶴、桜に幕、月(満月)、柳に小野道風、桐に鳳凰の20点札5枚のことを五光と言います。

 

この五光のうちで松、桐、坊主(月)の三枚を三光と言いますが関西の一部では梅松桜で三光というところもあります。

 

本来は20点札のことを光というので10点札の梅を入れて三光というのはおかしいような気もします。

 

まあ梅、松、桜と日本を代表する花(木)だからかもしれません。

 

ところで、無視することを「しかとする。」と言いますが、これも花札から出た言葉です。

 

花札の鹿を見てもらうとぷいと横を向いているように見えます。

 

しかも、鹿は10月の札です。

 

十は「とう」とも言います。

 

ここから10月の鹿が横を向いていることから、無視することを「鹿十(しかと)」となりました。

 

青黒く内出血した「青あざ」を指す、「あおたん」という言葉ですが、近年、広がっています。

 

語源ははっきりしていませんが、花札の「青短」と関係あるようです。

 

ところで余談ですが、有名なマリオブラザーズで今を時めく任天堂はもともと「花札屋」さんだったのです。

 

なんとなく後ろめたい感じの「賭場」がメインの市場だったのが「一家団欒」といった明るい市場へと変貌していったのも面白いですね。

 

落語と花札

いよいよ本題の落語と花札の関係です。

 

まず演目になっているのが上方落語の演目である「五光」です。

 

山の中で道に迷った旅人が、夕暮れに近づいたときに荒れ果てた辻堂を見つけた。

 

お堂の濡れ縁に髪はバサバサ、髭ぼうぼうでボロボロの衣に輪袈裟かけて、手に数珠を持った坊さんが座っていた。

 

道を聞こうと近づいて声をかけたが、返事もしてくれずじろっとにらまれただけです。

 

やっとの思いで一軒の家を見つけて泊めてもらおうと交渉しますが、娘が病気なのでと断られますが何とか泊めてもらいます。

 

夜中に娘が苦しみだし、ふと横を見るとさっきの気持ちの悪い坊主が座っていました。

 

朝になる前に坊主は帰っていきますが、主人からあの坊主に苦しめられていると話を聞かされます。

 

旅人は泊めてもらったお礼にと自ら一計(計略)を案じて辻堂の坊主のところに飛んでいき、「娘は死んだ」とうそをつきます。

 

坊主はそれを聞いたとん辻堂の濡れ縁から落ち、松の前で死に絶えます。

 

すると急に雨が降ってきたので、その男が辻堂に入りますとさっと光(後光)がさしてきました。

 

こわごわでも思い切ってふすまを開けると、欄間には桐に鳳凰、ふすまには桜の絵があります。

 

旅人は、「外には雨に松に坊主、中には桐に桜、これでは五光が差さなしゃーない」というのがオチになります。

 

次に演目ではありませんが、噺の中に花札のことがつかわれている例です。

 

これも上方噺です。

 

「地獄八景亡者の戯れ」の中の話です。

 

集団自殺をして地獄に来た若旦那や芸妓、太鼓持が賽の河原の渡船場で鬼を探しますが見つかりません。

 

太鼓持が河原で毛布を見つけ、これをめくってみると鬼が寝ていました。

 

太鼓持が「めくったら鬼が出た」と叫びますと若旦那が「桐か坊主か食っとけ」と指示します。

 

これは落ちではなくくすぐりなんでしょうが、花札のルールを知らないとわかりません。

 

もう一つ「参考」までに紹介します。

 

これも上方噺の「べかこ」の中の一節です。

 

旅に出た噺家がひょんなことからお城でお姫様に滑稽噺をするようにと呼ばれます。

 

噺を始める前にお城の重役から、城の中を案内してもらいます。

 

1月の間は狩野派の絵師の墨絵で松の間です。

 

2月は梅の間、3月は桜の間と順に案内され重役から噺の参考になったかと問われます。

 

噺家は「松と梅と桜」ですから「三光(参考)にならなしゃーない」と答えます。

 

まとめ

同じばくちでも「さいころ」は「狸賽(たぬさい)」とか「看板のピン」とか演目になっています。

 

「花札」も大衆の遊びですから落語には時々出てくることはありますが、ほとんどはオチかくすぐりだけにつかわれるようです。

 

ただルールや言葉を知らないとうまく笑えないことがありますね。